私、どうしちゃったんだろう。おとといに抱き締められてからずっともやもやしっぱなしだ。
それはさておき、仁菜は椿にいじめられていたってなぜ教えてくれなかったのだろうか。そしたら咲結を助けに行くことも犯人が椿だって知ることもなかったのに。
手のひらを爪が皮膚に食い込むかというぐらい強く握る。その痛覚が身体中を巡っていた。
「胡桃」
懐かしい声が耳に響いてはっと我に返る。声がした方には制服を着た仁菜が平然と立っていた。
「どっから入ってきたの?」
そう。昨日の夜、確かに玄関の鍵は閉めたはずだ。ベランダの窓などの家中の窓も鍵を閉めておいたはずだ。それにどこの窓もドアも開いた音が聞こえてこなかった。私の部屋のドアが開く音すらもだ。流石におかしいとしか感じられない。
「幽霊はね、常に静止している物ならすり抜けることができるのよ。知らなかった?」
仁菜はこれぐらい幽霊の中では当たり前よというような顔をしながら言った。どうやら私が知識不足なだけだったようだ。恥ずかしくてつい苦笑いを浮かべてしまう。
「それはさておき、どうして教えてくれなかったの?」
仁菜と咲結をいじめていた人が椿であることを。
仁菜は一瞬きょとんとしてから察したように手をパンと叩いた。
「知ってたからだよ」
「へ?」
それはさておき、仁菜は椿にいじめられていたってなぜ教えてくれなかったのだろうか。そしたら咲結を助けに行くことも犯人が椿だって知ることもなかったのに。
手のひらを爪が皮膚に食い込むかというぐらい強く握る。その痛覚が身体中を巡っていた。
「胡桃」
懐かしい声が耳に響いてはっと我に返る。声がした方には制服を着た仁菜が平然と立っていた。
「どっから入ってきたの?」
そう。昨日の夜、確かに玄関の鍵は閉めたはずだ。ベランダの窓などの家中の窓も鍵を閉めておいたはずだ。それにどこの窓もドアも開いた音が聞こえてこなかった。私の部屋のドアが開く音すらもだ。流石におかしいとしか感じられない。
「幽霊はね、常に静止している物ならすり抜けることができるのよ。知らなかった?」
仁菜はこれぐらい幽霊の中では当たり前よというような顔をしながら言った。どうやら私が知識不足なだけだったようだ。恥ずかしくてつい苦笑いを浮かべてしまう。
「それはさておき、どうして教えてくれなかったの?」
仁菜と咲結をいじめていた人が椿であることを。
仁菜は一瞬きょとんとしてから察したように手をパンと叩いた。
「知ってたからだよ」
「へ?」


