夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~

『授業で習わなかったのか?いじめなんかやってても意味ないぜ。人が苦しむだけだ。そんなの俺は放っておけねぇんだよ。お前ら、許さねぇかんな』

私の胸にグサリと刺さってきたその言葉。躊躇いもなく面と向かって言えるところが勇気に溢れていて、無性に羨ましく思った。

それを聞いて『すみませんでした!』と深々と頭を下げ、逃げるように去っていくいじめていた子達。私はそれをざまぁみろとあざ笑ってやった。

その笑い声が少し大きかったのか、気絶していた咲結が目を覚ました。ハッと我に返った私は慌てて本に栞を挟んでそれを肩に掛けていた鞄の中へとしまう。

咲結はぼんやりと辺りを見渡し、こちらに気づくと驚いたように「わっ!」と声をあげた。それから眉をあげて険しい顔をした。

「何で助けたの?私なんかほとっけばいいでしょ?」

過去には私を嫌い、いじめてきた人だ。怒ったように声を荒げて言ってくるのはいうまでもない。

「ほっとけないよ。いじめられてる人を」

私はいつの間にか真っ直ぐにそう言っていた。きっとさっき読んでた本に勇気をもらって面と向かって言うことができたのだろう。

「わかってる?私はあなたを過去にいじめたのよ。嫌ったしつまらないとも言った。なのになんで?」

私が助けたことにムカついてるのか、早口で質問攻めしてくる咲結。だけどこれぐらいまだ想定範囲内だ。

「元は友達だったでしょ?」