夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~

すると不自然に窓側の一番後ろの席が掃除用具入れのロッカーにくっつくように置かれていた。その上には濃い緑色の肩掛け鞄という学校指定鞄がぽつんと置かれている。おそらくしばらくしてこの教室に戻ってくる人がいるのだろう。

ではなぜ椿はそれがわかっているはずなのに鍵を閉めたのだろうか。

まさか……。

私は急いで教室の引き戸を開け、掃除用具入れのロッカーに近づく。足止めをしているように置かれた机をどかし、扉を開けた。

途端に少女がこちらに倒れてくる。私はそれを慌てて受け止めた。顔を見ると、太い眉に琥珀色の髪をツインテールにしていたのですぐに咲結とわかった。どうやら誰かに気絶させられ、このロッカーに閉じ込められていたらしい。

……ひどい。いったい誰がこんなことをしたのだろうか。脳裏に椿の顔がよぎるけれど、彼がそんなことをするわけないだろう。

とりあえず咲結の重たい体を近くの椅子に座らせる。怪我をしている様子ではなかったのでホッと胸を撫で下ろした。

咲結の隣の席に座り、お気に入りの本『君のためなら、僕は』を読みながら目を覚ますのを待っていた。

ちょうど今読んでいるのは主人公がいじめを止めているシーンだ。張りつめた空気と誰かを助けたいという思いが熱のこもった文章から伝わってくる。

そこには主人公のある強い発言が書かれてあった。