夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~

そう言うと仁菜は諦めたような笑みを浮かべた。

「わかった。じゃあ約束して。そのいじめに終わりを告げてみせるって」

そう言って小指を差し出してくる。

一緒に止めに行くことはできないだろう。そんなことしたら自分のためにならないから。それに仁菜は幽霊でもちろん、普通の人からは見えない。だから私が変な人だと思われてしまう。

「わかった。期待はしないでよ」

私はそう言って仁菜の小指を握り、約束を交わした。

「私のために絶対解決させてよね。できるだけはやく。じゃあ、またね」

仁菜は急かすように言った。まるでタイムリミットでもあるかのように。

この時の私はその理由なんて知るよしもなかった。

昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴る。もう一度会えることを信じてまたねを返した。それから校舎に戻り、階段をかけあがっていく。

「強いね、胡桃は。私からのエール、届くといいな」

後ろからそんな声が聞こえてきたような気がした。


六時間目の終わりのチャイムと同時に覚悟を決めるかのように唾を飲み込む。