栗色のツーブロックの髪を生ぬるい風になびかせている少年が私の隣に座っていた。前髪は目がすっぽり隠れてしまうほど長く、どこかミステリアスに感じる。
鼻筋はまっすぐで口元には小さなほくろがあった。顔立ちも整っていて、クラスの人気者になってそうな人だった。
少年は控えめな笑みを浮かべながら私の背中をさすってくる。温かいものに包まれたような気がして、安堵の涙が溢れてきた。
こんなに優しく接してくれるのは仁菜以来だ。大体の人は最初は話しかけてくれるけれど、しばらくすれば目も合わせてくれやしない。そのせいで今のクラスでも孤立している。休み時間は読書や課題をしたりして過ごしていた。
そんな私にとったら珍しいことだし、ぜひ名前を聞きたいところだ。
「えっと……誰ですか?」
人見知りで初対面の人は苦手だからか、敬語で話しかけてしまった。とはいえ、先輩の可能性もあるのでこれはこれでいいと思う。
「一年の東山椿《ひがしやつばき》だ。よろしくな。君は?」
さっきと変わらない穏やかな口調で彼は言った。同学年の人らしいけど、見たことはない顔なのでクラスは違うのだろう。
「同じく一年の……西園胡桃《にしぞのくるみ》って言います」
そう言いながら椿って綺麗な名前だなんてことを思った。
鼻筋はまっすぐで口元には小さなほくろがあった。顔立ちも整っていて、クラスの人気者になってそうな人だった。
少年は控えめな笑みを浮かべながら私の背中をさすってくる。温かいものに包まれたような気がして、安堵の涙が溢れてきた。
こんなに優しく接してくれるのは仁菜以来だ。大体の人は最初は話しかけてくれるけれど、しばらくすれば目も合わせてくれやしない。そのせいで今のクラスでも孤立している。休み時間は読書や課題をしたりして過ごしていた。
そんな私にとったら珍しいことだし、ぜひ名前を聞きたいところだ。
「えっと……誰ですか?」
人見知りで初対面の人は苦手だからか、敬語で話しかけてしまった。とはいえ、先輩の可能性もあるのでこれはこれでいいと思う。
「一年の東山椿《ひがしやつばき》だ。よろしくな。君は?」
さっきと変わらない穏やかな口調で彼は言った。同学年の人らしいけど、見たことはない顔なのでクラスは違うのだろう。
「同じく一年の……西園胡桃《にしぞのくるみ》って言います」
そう言いながら椿って綺麗な名前だなんてことを思った。


