夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~

私は小四の時、何をしていたのだろうか。たぶん、いつもと同じで仁菜とばかり話していたのだろう。

確か、ここに買いに来た時は母から薦められて買ったんだっけ。となると、自分で選ぶのには時間を費やしそうだ。

椿は私のメガネをカウンターに置き、店の中を行ったり来たりしてからこちらに戻ってきた。

「これなんか、どう?」

椿はそう言って私に一本のメガネを差し出してきた。

淵は淡いピンク色の細長くて四角いメガネだった。角のところは柔らかい丸みを帯びていて優しい感じがする。

私は吸い込まれるようにそれを手に取り、耳にかけてみた。

度が入ってないのは店の物だからだろう。近くにあった鏡で顔を確認してみると、ぴったりだった。

椿も鏡を私の隣から覗きこむ。その時、ちらりと前髪の隙間から瞳が見えたような気がした。

「似合ってるな」

「そう?じゃあこれにしようかな」

自分で選ぶのには迷うから都合がいい。それに椿が選んでくれた物だし。まだ昨日会ったばかりではあるけど、優しくしてくれるから感謝しかない。

「レンズ入れてくる」

椿がそう言うので私はメガネを外して渡した。椿はカウンターの方に行き、レンズ入れる。私もそれを見てお金を払わなければとカウンターの方に行った。