その言葉が私には温かく優しく聞こえてきて、思わず涙がまた溢れてくる。
私は涙を拭おうと制服のポケットからティッシュを取り出す。その拍子に何かが落ちて転がった音がした。
何だろうと辺りを見渡していると、彼がその落ちた物を拾って私に差し出してきた。
度の合わない茶色い淵のメガネだった。今日の朝、泣いているのには邪魔で制服のポケットに入れてそのままだったのだ。
「ありがと」
私は苦笑いまじりにそう言ってメガネを受け取って耳にかけた。
「そのメガネ、いつから使ってるんだ?」
思わぬことを聞かれて「へ?」という言葉を出してしまう。
まさか度が合ってないことがばれたのかもしれない。いや、そもそも彼は私の視力の悪さを知らないからそんなことないか。
「小四からだけど……」
「俺んちメガネ屋でさ、来ないか?」
椿はそう言って私の手を引き、メガネ屋に連れて行こうとする。
これはどういうことだろうか。まるで連行、または誘拐されてるみたいだ。とはいえ、メガネを買い替えしておきたいとずっと思っていたのでこれは好都合だ。
それにしても私の印象からしたらミステリアスで優しい人なんだけど、ちょっと不器用なような感じもする。たとえば今、私の許可なしに手を引いているところとか。
私は涙を拭おうと制服のポケットからティッシュを取り出す。その拍子に何かが落ちて転がった音がした。
何だろうと辺りを見渡していると、彼がその落ちた物を拾って私に差し出してきた。
度の合わない茶色い淵のメガネだった。今日の朝、泣いているのには邪魔で制服のポケットに入れてそのままだったのだ。
「ありがと」
私は苦笑いまじりにそう言ってメガネを受け取って耳にかけた。
「そのメガネ、いつから使ってるんだ?」
思わぬことを聞かれて「へ?」という言葉を出してしまう。
まさか度が合ってないことがばれたのかもしれない。いや、そもそも彼は私の視力の悪さを知らないからそんなことないか。
「小四からだけど……」
「俺んちメガネ屋でさ、来ないか?」
椿はそう言って私の手を引き、メガネ屋に連れて行こうとする。
これはどういうことだろうか。まるで連行、または誘拐されてるみたいだ。とはいえ、メガネを買い替えしておきたいとずっと思っていたのでこれは好都合だ。
それにしても私の印象からしたらミステリアスで優しい人なんだけど、ちょっと不器用なような感じもする。たとえば今、私の許可なしに手を引いているところとか。


