夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~

仁菜はすぐに報われた。ほどよい優しさで人に接していたからだ。その一方で、人見知りの私は、高一になった今でも報われない。むしろ、中学では逆にいじめられた。きっと私が自分から、話の話題を出すのを、あまりしないからだろう。

短所だからいつまでも直さないままでいるのはいけないし、コミュニケーション能力を高くしないと、社会に出た時にうまくやっていけない。問答無用でクビ、もしくは一生ひとりぼっちになるかもしれないからだ。

遠い高校に入学した今、いじめられることはない。相変わらず話の話題が出せないで一人になっちゃうけれど、前よりかはましだ。

気分転換するように住宅街を思い切り走り、神社に着く。家を出てから十分のところだったので近くて便利だ。

入り口の大きくて赤い鳥居には『紡《つむぎ》神社』と書いてあった。いかにもおかしな名前で町で有名になっていてもおかしくないんだけれど、広さはあまりないし、おみくじやお守りを買うところもなく、ただ私よりもかなり小さい寺があるだけだからあまり人は訪れない。

その寺は大きさが縦も横も高さも一メートルだ。だから少しかがまないとお賽銭も入れれないし、鐘を鳴らすこともできないのだ。とはいえ、こんなにも小さいのは意味がある。小さな願いでも叶いますようにというこの神社を作った人達の願いが込められているからだ。

更には昔、このお寺を出来たての頃に管理していた白い少女が川に溺れていた少年を助けたという言い伝えがある。その少女は少年を助けた時に亡くなってしまい、以来このお寺の守護神と言われている。