夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~

私の家はごく普通にある一戸建てだ。一人で暮らしているわりには広すぎるけれど、両親がいつ帰ってくるかわからないし、仕方ないだろう。

両親は三ヶ月前から海外出張に行っている。母は看護師で命を助けるボランティアを頼まれ、父は漁師で深海魚を釣りに行ってくれないかと頼まれ、その結果今は私一人で暮らしている。

いつも私のためとかと言って頑張ってくれているのだけれど、元々共に頼まれたら断れない人達なので、そこにはため息でもついておきたいところだ。

フライパンに生地をしき、上に薄切りにしたベーコンを乗せる。そして青のりをひとつまみぱらぱらと生地にかけた。

焼いている間にスマホの電源を入れ、メッセージアプリを開く。ここで両親との連絡取り合いをしているのだ。

『まだ目当ての深海魚が釣れてない。帰るのはもう少し遅くなりそうだ』

父からそうメッセージが送られて来ていた。三ヶ月も行っているのにまだ釣れていないのだろうか。それとも一緒に釣ってた人と観光でもしてて、それがばれたくないからこう言っているのかもしれない。時々嘘をついてしまう人だから。

母からのメッセージはというと、何もきていなかった。

しばらくして焼いていたお好み焼きがいい色に染まってきたのでフライ返しで裏返す。ジュージューという油の音が聞こえきて、湯気もたってきた。どうやらいい感じに焼けてきたようだ。それから冷蔵庫からウスターソースとマヨネーズ、鰹節を取り出す。