夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~

一緒に、逝くんじゃないの?

私にはまだ、解消しなきゃいけない未練があるの?

それとも……。

わけが、わからなかった。

困惑していると、紡さんがそれを察したように口を開いた。

「申し訳ありません。実は私達、胡桃様に嘘をついておりました」

頭を下げて紡さんは言う。

脳裏には、無数のクエスチョンマークが駆け巡った。

「今まで胡桃様は自分自身の未練解消をしていたはずですよね?」

確認するように紡さんは問いかける。わけがわからないまま、こくりと頷いてみせた。

最初は約束をして、次は人任せみたいになって、最後は未練解消とわかって。

でも……それは違うと言うの?

「はい。仁菜様のは、ほんとに本当の未練解消ですが」

混乱で思考が停止していく中、聞き耳だけを立てる。

「胡桃様に与えたのは、試練です。もう一度人間として、この世界に生き返るための」

淡々とした口調で紡さんは言った。そこでなんとか思考が動き、ひとつの答えが出る。

それって、まさか……。

「私、あの世に逝かなくて……いんですか?」