夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~

ミキミキ。

何やら奇妙な音が聞こえてきて、枝の方を見る。私が立っていた枝が今にも折れそうになっていたのだ。

早く飛び降りないと、もっとけがをしてしまう。でもこの枝と一緒に落ちれば、死ねるのではないか。

そう思い、私は枝が折れるのを待つことにした。

確かにこの状況は勇気を振り絞って、飛び降りることができない私にとって好都合だ。

そしてその枝が折れる時はすぐにきた。

メキメキバキッ。

枝が折れて私はそれと共に落ちていく。途中で何本もの枝分かれした枝にあたったので、その度にジンジンという痛みが強さを増した。

私はあっという間に地面に打ち付けられた。

体中が痛くてなかなか動けない。骨が骨折していても、おかしくはなかった。しかし、不思議なことに起き上がった瞬間、痛みはなくなった。

まるで大木から落ちたのが嘘みたいにどこも痛くない。

私はそれに違和感を感じたけれど、死ねなかったことにショックを覚えた。


その日の夜。夕食にお好み焼きを作ることにした。

冷蔵庫からキャベツを取り出し、千切りにしてだしの素と薄力粉、卵をまぜて生地をつくる。

静寂に包まれている家中に響く生活音は聞いていて心地よかった。