夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~

終わってほしく、ない。

「ねぇ、本当に逝っちゃうの?」

寂しそうな顔をして咲結が言う。その瞳には大粒の涙が溢れていた。

私だって、寂しい。離れたく、なんかない。私の第二の親友に当たる人だもの。もっともっと一緒にいて、何気ない話で笑いあいたいよ。

胸の奥から欲求が溢れてくる。それを堪えようとしても、止められない。

でも……。

「ごめんね。逝かなきゃ」

私の存在は既に、完結したのだから。心残りがあったとしても、もう戻れない。

運命は、変えられない。

願いは、届かない。

「そっか。……仲直りできて、また話せてよかった。本当に、ありがとう」

終始嗚咽混じりに、咲結は言った。それから私に抱きついてきた。きっと最後の欲張りなのだろう。そうでなくとも、嬉しいのは変わらない。

「あの世に逝ったとしてもずっとずーっと、親友だからね。約束だよ」

耳元で囁くように咲結は言った。それから体を離す。それを見てから、隣にいた椿が口を開いた。

「胡桃と会えてよかった。俺を連れ出してくれて、助けてくれてありがとな」

照れ臭そうにそっぽを向きながら椿は言った。