夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~

仁菜が忘れ物をして毎日私に借りにくることを違和感に感じ、いじめかと思ったこともあったのに。

どうして物を貸すだけで訳を聞いてみたりしなかったのだろうか。

仁菜がいじめられていた理由はよくわかんないけれど、どんないじめをうけてたのかは何となくわかる。

忘れ物なんかじゃない。盗まれたんだ。大体小中と忘れ物などしたこともなかったのに、いきなり毎日のようにってどうりでおかしいわけだ。

どうして私に相談してくれなかったのだろうか。

元々、気づくも助けるもできなかった私も悪い。だけど私達は幼なじみだったじゃないか。どんな時も一緒にいて壁を乗り越えてきたじゃないか。

なのに……。

私、大好きだと仁菜に思われてなかったのかもしれない。本当の友達だと思われてなかったのかもしれない。だけどそう思ってなかったとしたら、助けに来てという約束はしなたいだろう。

どうであれ、約束を破ってしまった私は友達失格と言ってもいい。

私は弱虫だ。改めてそう確信した。

私はこれから仁菜がいないこの世界をひとりぼっちで生きていかないといけないのかな。そう思うと辛い。きっと何度も思い出してその度に泣いてしまう。

いっそここで自殺しておいた方が楽なのかもしれない。

ふとそう思い、私は枝の上に立ち、片手で大木に触れる。

改めて下を見てみる。五メートル以上は上だからか、やはり遠く見えた。ここから飛び降りるとなると、怖くて到底無理かもしれない。