夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~

もう少しで椿とも永遠の別れ。そうとわかって寂しい、離れたくないと思い詰めたのだろう。それは私も同じである。願うならもっと一緒にいたい。お祖父さんの代わりに私が側に寄り添いたいのに、それができないなんて、悲しすぎる。

『必ず帰ってこいよ』

昨日の朝、椿にそう言われた意味が痛いほどわかった。

「大丈夫。私はまだ逝ったりしないよ。まだ……ね？」

自分に言い聞かせるように言った。こんな展開予想もしてなかった。私は咲結や仁菜の言う通り、鈍感なのかもしれない。

気づけば、椿の体を包んでいた。

彼は一瞬驚いた顔をしてから、抱き締め返してくれた。

冷たい手でも、構わない。

この悲しみを、一緒に背負いたい。

離れたく、ない。

「私も……好き。椿のこと」

恋をしていた。自分でも気づかないうちに。

仁菜を失って、悲しんでた私を慰めてくれた。

それから紡神社で再会し、淡いピンク色のメガネをもらって、ぎこちないけど相合い傘もして嬉しい反面、自分だけ幸せになっていいのかなんて罪悪感を抱いていた。