夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~

私は共働きでお人好しな両親と、あまり会えない寂しさも抱えていたから。もう限界は迎えていた。

「やっぱ優しいね、胡桃は。ありがと」

仁菜は目に浮かべていた涙の雫を小指で拭いながら言った。

私は優しい……のかな。一度は仁菜との約束を破ったような人なのに。

「胡桃の未練解消を手伝う。それが私の出した答え」

揺るぎない口調で仁菜は言葉を紡ぐ。そのわりには、私に丸投げしていたような気もする。

「それでね、紡ちゃんに聞いてみたらびっくり仰天。なんと私の未練と同じだったんだよ」

仁菜は私の隣に寄り添うように座りながら言った。それからまた言葉を紡ぐ。

「私達の未練は四つあるんだよ。その内三つは解消できてるの」

そう。仁菜と再会すること、咲結を助けること、いじめを止めることだ。

そしてまだ解消できていないのは。

「椿を助けること。それが私達の最後の未練」

わかってる。でも不可能だよ。だって……。

「紡ちゃんからあっちでなんとかしとくって言われたんでしょ?」

もう時間も少ないから。まさか、聞いてたのかな。

「私もそう言われたんだ。だからって、ほっとくわけにはいかないでしょ?」

真剣そうな口調で仁菜は言う。