夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~

椿を助けられない……。

そう思うと無性に涙が溢れてくるんだ。

ぽろり、ぽろり、涙の雫が頬を伝っていく。

その姿は誰の目にも決して、止まることはない。儚くて虚しい存在。

でも私が見える人から見たら、幼い子供のよう。たぶん、今が人生で一番泣いた時だと、未来でわかってもおかしくはない。

誰もいない物寂しい公園で、ブランコに揺られながら何年ぶりかの涙を流した。


どれくらいの時間が経ったのだろうか。気づけば、空は茜色に染まっていた。街並みには夕陽の光が照らし、ぽつぽつと付きはじめる家の明かりからはどこか温かみを感じる。

泣いている間、好都合なことに公園を訪れる人は誰一人としていなかった。そのことに安心感を覚える。

弱々しくて惨めな自分を誰にも見せたくなかったから。特に私の存在が見える、仁菜、咲結、椿には。顔を合わせるとなると、気が重くなるから。

このまま、公園で夜を越すのもいいかもしれない。今は誰にもあいたくない。

そう思った時だった。

「やっぱりここにいた」

高くそして優しく、聞き覚えのある声が耳に響く。その主はもちろん、咲結だ。ポニーテールに結んだ髪が風に靡いている。