夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~

椿の方はわからない。確か椿は仁菜が好きな人なんだったっけ。だから私に会わせたいとか思ったのかな。本人に聞いてみなければ、その本当の答えはわからないけれど。

「そうなんですか」

そうとしか返せなかった。紡さんに聞いたって、本人じゃないからきっと、わからないって言うのだろうなと思って。ここで問い詰めたって、無駄なことである。

それでも私にはまだ、一つだけ聞きたいことがあるんだ。

「あの夢を私に見せたのはなんで?」

あの椿の過去の夢を。もしかして、それも仁菜に頼まれたのかな。

「いえ、私の独断です。胡桃様と椿様、お二人の様子を見て判断しました。ですから、このことは私と胡桃様しか知りません。ばれちゃうかもしれないけれど、秘密で……お願いします」

そう言って紡さんは深々と頭を下げた。申し訳なさそうな顔だ。了承せざるを得なくなる。だけど。

「私のこと、つけてたの?」

お二人の様子を見てということは、ストーカーみたいにずっと、近くにいたのではないか。理由はどうであれ、悪趣味な人だ。その気配に私が気づけなかったのも、気がかりなことだけれど。恥を知り、自己嫌悪に浸る。

「はい。ですがもう時間もございません。だからこそお迎えにあがりました」

平然と紡さんは言った。

脳裏に何度目かのクエスチョンマークを浮かべる。本当にこの人はわけがわからない。