ありえない。まさかあの二人がこんな私なんかに会いたいなんて。

6月9日の時点では何もしてあげてなかったし、友達でもなかった。言葉もあまり交わしてなかったし、以前あの二人にいじめられたせいでむしろ、険悪な仲になっていたはず。

もしその仲が違ったとしても、なんの取り柄もない私に会いたいなんて、どうかしてるよ。

あまりのことに動揺が隠せない。けれどどこかには嬉しいと思う、気持ちがあった。

でも……。

「どうして?」

「それは私に聞かれましても……」

紡さんは戸惑っているように、オロオロした口調で言った。

そっか。本人じゃないものね。私ったら何バカなことをしているのだろう。思えば、さっきから質問ばかりしてる気がする。普段は人見知りな私だが、紡さんを前にしたら調子が狂ってしまう。

「一方的ですいません」

「いえ、無理もないです。それに……」

「それに?」

「仁菜様にも胡桃様をあの二人にあわせてあげてと頼まれましたから」

淡々とした口調で紡さんは言った。

確かに仁菜ならそんなことをやりかねない。幼い頃からいつも私と一緒にいてくれたし、どこかで私と咲結の関係を戻したいとずっと思っていたのだろう。