って、十四歳!?

一瞬目を疑った。私より一つ年下のわりには背も高いし顔つきだって大人びすぎている。

改めて全身を見てみる。やはり、変わりはしない。細身で膝下まである白いワンピースの裾がふわりと風に揺れている。それは彼女がする柔らかい笑みと似合っていて、まるで女神のようだ。

そんな紡さんが十四歳だなんて。そう言われても、実感がない。

驚きのあまり言葉も失っていると、紡さんはそれを察したのか、口を開いた。

「あら?年上に見えてましたか?大丈夫です。よく間違われるんで」

紡さんはそう言ってふふっと笑った。その姿に不思議と安堵している自分がいた。

「そうなんですか。すみません、てっきり二十代かと思ってました」

苦笑いまじりに言う。年下とはいえ、ため口ではいけない。当時の年齢に守護神をやっている年数を足せば、きっとすごい年になるのだと思うから。

「そうでしたか。誤解が解けてよかったです」

紡さんはそう言ってふわりと笑みを浮かべた。それから呼吸をする仕草をひとつして、口を開く。

「では改めて。お迎えにあがりました。西園胡桃様」

この声を、言葉を聞くのは二度目だ。だけどその言葉の裏をまだ私は知らない。

「どうして私の名前を?」

真っ先にそんな疑問が浮かび、問いかけてみた。もちろん、名前を教えた覚えなんてなかったから。