「じゃ、紡さんで」

どこからどう見てもやはり大人っぽい。年上としか思えないので、ちゃん付けは社交辞令的に失礼だと思った。

「本当なんですか?そのさっき夢で言ってた……」

紡さんがこの神社の守護神でその上、あの世への案内人を務めている者だということ。
わけのわからない人だということもあり、正体を明かしてくれたって信じられない。守護神なんて、噂でしか聞いたことがなかったから。

「紡神社の伝説は知っていますか?」

紡さんは温かみのある声で言う。まだ会ったばかりの人なのにその声は聞いていて、心地よいとさえ思える。

「はい。確か昔、川で溺れていた少年が当時、その神社の管理人をしていた少女が助けて、その少女は拍子に亡くなり、この紡神社の守護神になったと……あ!もしかして……」

あることに気がついたからか、最後は大声を出してしまう。紡さんはそれを察したようにふわりと笑った。

「それが、あなたなの?」

でも伝説では少女って……。

「はい、そうです。当時の私は十四歳でした。しかし、守護神になってから体も年齢もあのときのまま止まってしまったままで、今に至ります」

紡さんの言葉に私は頷く。