夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~

しかし、お祖父さんの様子が今まで見てきた中と違う。今まで見てきた中なら深入りするように「どんなかんじなんだ」と聞いてきそうだが、今回はその気配すらない。その上、湯飲みの緑茶を一口飲み、一服までしている。

「聞いてこねぇのかよ?」

椿も怪しく思ったらしい。眉をひそめてお祖父さんに問いただした。

「なんだ?聞かれたかったのか?」

「いや、そういうわけでは……」

もごもごと椿は否定した。

「じゃろう?やっぱりな。どちらにしろ、話したくないんだろ?顔見てたらわかったよ。じいちゃんはいつでもおまえが話してくるときを待っとるからな」

顔のシワをくしゃりとさせて、お祖父さんは微笑みを浮かべた。少し、お祖父さんらしくないけれど、これはこれでよいと思った。深入りしてくるのも、してこないのも、どちらも優しさからとわかったからだ。

「さて、食器洗いでもしようかのう。椿も手伝え」

よいしょとお祖父さんは立ち上がり、台所へと向かう。後を追うように椿も私もついていった。

「椿は洗ったことあるのか?」

お祖父さんの問いに椿はなぜか、素っ気なく首を横に振る。

「じゃあ、やってみな。ほれ、袖も捲って」