夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~

長い沈黙の後、こくりと頷いてから椿は言った。まだ覚悟は決めていないようだが、とりあえず返事をしたというところだろう。

「そういえばじいちゃんがいない間に、客が来たんだってな」

立ち上がって伸びをしながらお祖父さんは言った。きっと小四の私と若い母さんと父さんのことだろう。

「うん。僕と同い年ぐらいの女の子とその両親がきてたよ。たしか西園さんという人だったかな。淡い茶色のメガネを買っていったよ」

「ああ、三ヶ月に一回来る常連さんか。で、その金はどうした?」

「レジにいれたよ。使い方は知ってたし」

平然と椿は口にした。小四で知っていたとは意外な一面だ。心底感心してしまう。それに対し、生憎私は高一にもなってレジの使い方すら知らない。一人で買い物に行くことは日常的にあるけれど。

辺りはまた暗闇に染まる。

____あと、四場面____。


そのうちの二場面は一言で言えば、悲惨でしかなかった。

髪を切ったということからさらに椿の母からの虐待はエスカレートし、腕にはカッターの傷がいくつも刻まれ、クローゼットに閉じ込められたことも何度かあった。