夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~

へ?

一瞬時が止まったような錯覚に襲われた。

もちろん、誰かにお迎えを頼んだ覚えもこの成人女性に会った覚えもないからだ。

そもそもどうして私の名前を知っているのだろうか。わからないことだらけで頭が困惑する。

「あなたは誰?」

「さて、誰でしょう?」

成人女性はそう言ってクスリと笑う。まるで私をいじっているよう。奇妙に感じながら疑問のひとつを放つ。

「ならなんで、私の名を知ってるの?」

「さて、なぜでしょう?」

成人女性はそう言ってクスリとまた笑う。きっと自身の中ではその理由もわかっていてわざと隠しているのだろう。尚更、わけがわからない。意味不明すぎにもほどがある。

「まぁ、それは夢の終わりで話しましょう」

成人女性はそう言ってまた、クスリと笑う。私の疑問に答えるつもりはまったくないようだ。そうとはわかるんだけど、何かひっかかる。

「あの、さっきお迎えにあがりにきたとか言いましたよね?」

それなのになぜ、夢の終わりで話すってなるの?わけわかんない。なにもかも。

「はい。言いました。でもそのときにはまだ早いのです。少なくともこの夢の終わりを迎えてからでないと……」