そう、私の声は誰にも聞こえることはない。届くことはない。この夢を見ている限りは。
辺りはまた暗闇に染まる。この夢にはまだ続きがあるということが、瞬間的に証明された。それが気になっているはずなのに、心のどこかではもう続きなんて、夢なんて見ていたくないと思っていた。
抜け出したい。早くその閉ざされている瞼をこじ開けて目を覚ましたい。
遠くの方に米粒のように小さな、光の没点がひとつ見える。あれがきっと夢の出口であり、現実へ戻るための入り口なのだろう。
私はその光を目指して闇の中を走り出そうとした。その時だった。
「お待ちください!」
突然誰かに大声で呼び止められた。高くて美しく、柔らかな声。おそらく成人女性の声だろう。
その声の方を振り返るといたのは予想通りの成人女性。白一色のワンピースを肌にまとい、安堵したような笑みを浮かべている。まるでやっと見つけたとでも言っているような顔だった。
辺りを見渡したしてみれば、真っ暗。黒一色の世界の中、成人女性がいるところだけ光っている。
髪は周りの闇と同化していて、長さはわからない。顔立ちはとても大人びていて、鼻筋もまっすぐたっている。モデルにでもなれそうな、温かい笑顔と優しい声を持つ美女であった。
不思議でしかなかった。今まで場面転換をさせられる間に誰にも声をかけられたことはなかったから。それも見覚えのない人に。
「探しましたよ。お迎えにあがりました。西園胡桃様」
そう言ってまた優しい微笑みを浮かべた。
辺りはまた暗闇に染まる。この夢にはまだ続きがあるということが、瞬間的に証明された。それが気になっているはずなのに、心のどこかではもう続きなんて、夢なんて見ていたくないと思っていた。
抜け出したい。早くその閉ざされている瞼をこじ開けて目を覚ましたい。
遠くの方に米粒のように小さな、光の没点がひとつ見える。あれがきっと夢の出口であり、現実へ戻るための入り口なのだろう。
私はその光を目指して闇の中を走り出そうとした。その時だった。
「お待ちください!」
突然誰かに大声で呼び止められた。高くて美しく、柔らかな声。おそらく成人女性の声だろう。
その声の方を振り返るといたのは予想通りの成人女性。白一色のワンピースを肌にまとい、安堵したような笑みを浮かべている。まるでやっと見つけたとでも言っているような顔だった。
辺りを見渡したしてみれば、真っ暗。黒一色の世界の中、成人女性がいるところだけ光っている。
髪は周りの闇と同化していて、長さはわからない。顔立ちはとても大人びていて、鼻筋もまっすぐたっている。モデルにでもなれそうな、温かい笑顔と優しい声を持つ美女であった。
不思議でしかなかった。今まで場面転換をさせられる間に誰にも声をかけられたことはなかったから。それも見覚えのない人に。
「探しましたよ。お迎えにあがりました。西園胡桃様」
そう言ってまた優しい微笑みを浮かべた。


