夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~

寂しい。胸の中が苦しい。

思えば私は物心ついた頃からそうだったかもしれない。母さんも父さんも私のためだとか言って、四六時中仕事に行ってしまうから。私を一人ぼっちにさせるから。独り暮らしをしていると言われても過言ではなかった。

何度仁菜と楽しい時間を過ごしたって必ず最後にくるのは。そう。寂しさだった。つい慣れすぎて忘れてしまっていたようだ。

ねぇ、もう一度会いたいよ。夢の中ではなくて、現実で。また小さい頃のように三人で暮らしたいよ。何気ない会話で笑ったりして過ごしたいよ。

そう心の中から願って声に出すけれど、私の言葉は目の前で話している若い母さんにも父さんにも小四である椿と私にも聞こえない。届かない。

ここは夢の中なんだから当たり前。そう、わかっていたはずなのに。なんだかモヤモヤして仕方がなかった。

「____泣いてる？」

くぐもっていて、私と似た声が耳に響いてくる。

小指で瞼を触ってみれば溢れていたのは無色透明の儚くて、すぐに消えてしまうような涙の雫。

まさか、私の声が誰かに届いた？

そんな淡い期待は辺りを見渡した途端、打ち砕かれた。

不思議そうに椿を見つめる小四の私と、フードの影で涙をぽろりとこぼしている小四の椿。おそらく椿が泣いている理由は脳裏にお祖父さんの顔でもよぎったからであろう。あくまで私の推測にすぎないが。