夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~

「なあに?」

母さんに呼ばれた小四の私は目をくりくりとさせて首をかしげている。

「ここがいつも私がお世話になってるメガネ屋さん。と言っても三ヶ月に一度、コンタクトを買いに行ってるだけだけど。前にも話したでしょ?」

懐かしむような顔で言う母さんに小四の私はさらに首をかしげた。

「そうだっけ?」

そもそもそんな話したことあったっけ?高一の私でも初耳のような気がする。あまり会っていないから記憶も薄いのかもしれないけれど。

「あれ?話してなかったっけ?」

「俺も胡桃に話してるとこ、見てないぞ」

間の抜けた母さんの反応に穏やかな声で普通に会話に参加してくる父さん。どうやら小四の私を構って言ってくれているらしい。しかしその表情を目にした途端、私の推測は裏返った。

いかにも真剣な顔をして、真っ直ぐに妻に目を向けている父さんは嘘を言っているようには見えなかったからだ。

妻の意見を否定するのはどうかと思うが、実の娘の意見を否定しないのはいいと思う。それよりも父さんは正論を通すことの方が大事なんだろうけれど。

「ま、いっか」

へらへらと笑いながら母さんは受け流す。いつもの悪い癖だ。図星を突かれると決まって空気のように受け流して逃げようとする。 せっかく父さんはが大事に言ってくれたのに台無しだ。