夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~

無駄なことだ。このお祖父さんには私でもかなわない。三年会っていなくても当たり前のように心を見透かしてくるから。どうやら何でもお見通しのようだ。

「違うよ……。僕は大丈夫、だから」

それでも小四の椿は必死に嘘を突き通そうとする。その背中は弱々しくて儚く見えた。

「なぁ、知ってるか?」

椿に背を向けながら高らかにお祖父さんは言い出した。

何のことをだろうか。その答えは私ではわからない。推測ができないこともないけれど。

「嘘を突くのは犯罪の始まりだぞ。簡単に言えることかもしれないが、せっかく手に入れた信頼に自分から傷を入れるようなものだ」

真剣な目をしてお祖父さんは言葉を紡ぐ。それを私も椿も口をぽかーんとさせながら聞いていた。

「優しい嘘というのもごくまれに存在する。だがな、じいちゃんは今、傷ついた。お前の言葉を信じてよいのかもわからん」

顔をしかめたまま、お祖父さんは言葉をまた紡いだ。意味のない言葉にはとても聞こえなくて、ことの重大さを痛感させられた。

「……じいちゃん」

小四の椿が顔を俯かせながらぽつりと呟く。どうやら図星を突かれて何も言い返せなくなったらしい。

「なんてな。大丈夫。信じてやるから、暗い顔すんな」

そう言ってお祖父さんは温かい微笑みを浮かべ、椿の栗色の長い髪をわしゃわしゃと撫でた。