一緒に寝ていた椿のことが心配になったけれど、この夢から抜けだせれそうにもない。まるでなにかに縛り付けられているようだ。
夢から抜け出すことを諦めて仕方なく、辺りを見渡してみる。均等に並べられた白一色の机。その上にあるのは新品の輝きを放つ、カラフルなたくさんのメガネ。私も二度、足を運んだことのあるメガネ屋だ。風の噂によると、この頃はお祖父さんが経営していたらしい。
しかし今、カウンターに立っているのは深緑のフード付きパーカーにジーンズを身にまとった椿だ。この長い夢の中ではすでに三年も経っているようでさすがに身長は130を超えている。学年ももちろん、小四だ。
髪はあれから一度も切ってないらしく、腰まで伸びたロングに整っていた。そして相変わらず、長い前髪で栗色の瞳をすっぽり隠している。おそらく誰が女と見間違えてもおかしくはないだろう。
小四の椿は一枚の写真を手にしている。その手が小刻みに震えていたのを私は見逃さなかった。
ちょっとした好奇心から写真を除き見てみると、そこにはお祖父さんの家の和室を背景に、満面の笑みを浮かべた椿とお祖父さんが写っていた。椿の栗色の髪をロングではなく、ツーブロックに整えられていたことから小一のあのときに撮ったと推測できる。
「あれから今日で三年、かぁ……。会いに行きたいな。どうしてダメなんだろ……。言えばいつも母さんに怒られちゃう」
椿は今にも消えそうなひどく掠れた声でそう呟いた。きっと母からの虐待のせいで引っ込み思案にでもなったのだろう。弱々しくて脆く儚くて、掌に乗せてみれば雪のようにすぐ溶けてしまう、そんな声だった。
夢から抜け出すことを諦めて仕方なく、辺りを見渡してみる。均等に並べられた白一色の机。その上にあるのは新品の輝きを放つ、カラフルなたくさんのメガネ。私も二度、足を運んだことのあるメガネ屋だ。風の噂によると、この頃はお祖父さんが経営していたらしい。
しかし今、カウンターに立っているのは深緑のフード付きパーカーにジーンズを身にまとった椿だ。この長い夢の中ではすでに三年も経っているようでさすがに身長は130を超えている。学年ももちろん、小四だ。
髪はあれから一度も切ってないらしく、腰まで伸びたロングに整っていた。そして相変わらず、長い前髪で栗色の瞳をすっぽり隠している。おそらく誰が女と見間違えてもおかしくはないだろう。
小四の椿は一枚の写真を手にしている。その手が小刻みに震えていたのを私は見逃さなかった。
ちょっとした好奇心から写真を除き見てみると、そこにはお祖父さんの家の和室を背景に、満面の笑みを浮かべた椿とお祖父さんが写っていた。椿の栗色の髪をロングではなく、ツーブロックに整えられていたことから小一のあのときに撮ったと推測できる。
「あれから今日で三年、かぁ……。会いに行きたいな。どうしてダメなんだろ……。言えばいつも母さんに怒られちゃう」
椿は今にも消えそうなひどく掠れた声でそう呟いた。きっと母からの虐待のせいで引っ込み思案にでもなったのだろう。弱々しくて脆く儚くて、掌に乗せてみれば雪のようにすぐ溶けてしまう、そんな声だった。


