そう言ってシンクの前にとうせんぼうするように立っていた私を強引に押し退けてパーカーの袖をまくる。同時に無数の傷やあざが姿を現した。ほとんどが瘡蓋になっているけれど、痛そうで見てられない。
「痛くなっても知らないからね」
椿の強引さに呆れて頬をブーッと膨らませて言った。それからしぶしぶ食器を拭く用のタオルを取る。
本当に大丈夫なのかなと不安がよぎりながらも、食器をゴシゴシ洗い出す椿を眺める。だが、傷口がいまにもしみりそうに見えて目を逸らす。椿はそれをちっとも気にしてないようで、ひどく哀しげに感じられた。
椿が食器を洗いゆすぐ。それを私が拭いて棚にしまう。カチャカチャという食器の音がただ静かなキッチンに流れた。
「なあ、胡桃。俺の腕の傷って見ていて、気味が悪いとか思わねぇの?」
食器をゆすぎながら椿が聞いてきた。
確かに普通なら気持ち悪いって避けたりするよね。でも私は虐待を受けていることを知っているから。
「思うわけないよ。むしろ心配になる。それに東山君が虐待受けてるのを知っているのは私しかいないでしょ?」
そう。誰にも話したことがないと確かに言っていた。
タオルで食器を拭きながら自分に言い聞かせるように強く言った。
「ああ。そうだったな。ありがとう」
「痛くなっても知らないからね」
椿の強引さに呆れて頬をブーッと膨らませて言った。それからしぶしぶ食器を拭く用のタオルを取る。
本当に大丈夫なのかなと不安がよぎりながらも、食器をゴシゴシ洗い出す椿を眺める。だが、傷口がいまにもしみりそうに見えて目を逸らす。椿はそれをちっとも気にしてないようで、ひどく哀しげに感じられた。
椿が食器を洗いゆすぐ。それを私が拭いて棚にしまう。カチャカチャという食器の音がただ静かなキッチンに流れた。
「なあ、胡桃。俺の腕の傷って見ていて、気味が悪いとか思わねぇの?」
食器をゆすぎながら椿が聞いてきた。
確かに普通なら気持ち悪いって避けたりするよね。でも私は虐待を受けていることを知っているから。
「思うわけないよ。むしろ心配になる。それに東山君が虐待受けてるのを知っているのは私しかいないでしょ?」
そう。誰にも話したことがないと確かに言っていた。
タオルで食器を拭きながら自分に言い聞かせるように強く言った。
「ああ。そうだったな。ありがとう」


