夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~

誰かと笑いあったのはいつぶりだろうか。寂しさばかりが身を包んでいて、いつしか忘れていたような気がする。

「だって懐かしいなと思って」

むきになりながら言うと、椿は驚いたように肩をビクリと鳴らせた。どうやら泣いていた理由は同じだったようだ。

「そういや、夕食どうする?」

しばらく笑いあった後、椿がふいに思い出したように言った。

「私が作るよ。簡単なものだけどいい?」

ちょうど最近スーパーで買ってきた中華麺がある。だから冷やし中華を作る予定だ。人を家に誘うなんて久しぶりだし、さすがにカップラーメンで済ますわけにもいかないだろう。

「ああ。俺も手伝う」

平然とした口調で椿は言った。私は目を見張ってから焦る。

「え?傷口痛むんじゃ……」

母から虐待を九年も受けてたんだ。心の休憩が必要だろう。

「大丈夫。これぐらい痛くもかゆくもない」

何ともないように椿は言ってキッチンへ行こうとする。私は慌ててその手を掴んだ。

「これぐらいじゃないよ。九年って相当なものだし。座って休んでて」

焦りのあまり口調が荒くなる。椿はそれに一瞬驚いてから諦めたような微笑みを浮かべた。