そこにあったのは二枚の写真。どちらも小学校へ入学した時に校門で撮った写真だ。一枚は私と仁菜。もう一枚は両親と私が晴れやかな笑みをして写真に写っている。
あの頃は私がまだ幼かったから二人が仕事の時間を割いて来てくれたんだっけ。数年前のことなのに今ではひどく懐かしくて遠い想い出だ。
嘘つきな父、人の命を守っている母。共通しているのはお人好しな性格だということ。今回の海外出張もそれが原因だ。
私のためとかって言っていつも誤魔化してくるけれど、それはもう通用しない。両親の性格を理解してしまったから。
どれだけ私に寂しい思いをさせているのか、二人は知らない。いい加減にしろと訴えかけてやりたいところだ。
隣に立ち尽くしている椿を覗き見ると、なぜか涙を流していた。私に気づいて驚いたように後ずさる。
「泣いてる?」
「あれ……なんでだろう」
今更気がついたように手の甲で涙を拭いながら椿は言う。その際に長い前髪の隙間から栗色の目がチラリと見えた。
「そういうお前もじゃん」
腹を抱えて笑いながら言う椿に私は慌てて自分の頬を触れてみる。涙の雫が伝っていた。お互い様だなとプッと噴き出す。それを見て椿も噴き出す。明るい笑い声がリビングを包んだ。
あの頃は私がまだ幼かったから二人が仕事の時間を割いて来てくれたんだっけ。数年前のことなのに今ではひどく懐かしくて遠い想い出だ。
嘘つきな父、人の命を守っている母。共通しているのはお人好しな性格だということ。今回の海外出張もそれが原因だ。
私のためとかって言っていつも誤魔化してくるけれど、それはもう通用しない。両親の性格を理解してしまったから。
どれだけ私に寂しい思いをさせているのか、二人は知らない。いい加減にしろと訴えかけてやりたいところだ。
隣に立ち尽くしている椿を覗き見ると、なぜか涙を流していた。私に気づいて驚いたように後ずさる。
「泣いてる?」
「あれ……なんでだろう」
今更気がついたように手の甲で涙を拭いながら椿は言う。その際に長い前髪の隙間から栗色の目がチラリと見えた。
「そういうお前もじゃん」
腹を抱えて笑いながら言う椿に私は慌てて自分の頬を触れてみる。涙の雫が伝っていた。お互い様だなとプッと噴き出す。それを見て椿も噴き出す。明るい笑い声がリビングを包んだ。


