「、」


ぱ、と目を覚ませば、部屋は暗くなっていて日が沈んだことを知らせていた。
一体どれくらい眠っていたのだろう。


一気に現実に引き戻されて、醒めてしまったことを心から悔やんだ。
手に汗がにじんでいる気がして、ずっと握ったまんまだったそこから手を離そうとした。



「……だめ、」

そこに力がこもって、もう一度ぎゅっと握られて、顔を上げればわたしを見下ろしているシキがいた。


「…し、き、」

「なあ、なんでいるの?」



暗がりの中、シキの顔だけがはっきりと見えていた。

まだ熱があるのだろうか、少しだけ瞳が揺れている気がした。



「……シキが、熱出したって、」

「……ふーん、」

「あ、っと、おなかすいた?シキの好きなブルーベリーのヨーグルト買ってきたし、アイスもあるよ、ていうか、熱下がった?」

「ミオ、」

「シキはいつも熱出したらめちゃくちゃ体温上がるんだから、本当はおかゆとか食べて元気つけなきゃいけないのにどうせ食べてくれないから作ってないよ」

「おい、」

「とりあえず、アイス持ってくる」

「聞けよ、」


立ち上がろうと手を振り払おうとすれば、ぐい、と引っ張られてもう一度地べたに座り込んでしまう。

シキの手のひらが伸びてきて、頬をそっと掠めるように撫でた。