さよならは響かない





ハンバーグを食べながら、当たり前のように今日も落とされたその言葉を、何度聞いても胸が締め付けられるし、タイミングだっていつも唐突で、たぶんそれはわたしにすこしでも揺さぶられてほしいという気持ちを持っているからなのだということはわかっている。


ハンバーグをきれいに分けて、もう一度「みいのこと、好きだ」って言葉を今度はわたしをまっすぐに見つめてそう言った。



この人は、一番にわたしのことを大切にしてくれる。
泣いていたら優しく抱きしめてくれるだろう。笑っていたら幸せそうに笑い返してくれるだろう。


わかっている、そんなこと。
このやさしさがわたしだけに向けられていて、それをわたしは利用しているのだ。


「…せんぱい、」

「パフェ、おいしい?」



ごめんなさい、を言わせてくれないのもいつものことだった。

もうとっくに先輩の視線はハンバーグに戻っていて、相変わらずおいしそうに食べている。




「おいしいです、相変わらず」

「ふは、それならよかった」



上にのせられているかっとされたイチゴを一つスプーンですくう。

甘酸っぱくて、やっぱり好きだと思う。