さよならは響かない






「みい、」


最寄り駅、学校の反対側へ少し歩いたところにあるファミレスにいつものように入って、センパイはいつものハンバーグセット、わたしはイチゴパフェを頼んで待っている。


先輩の手が伸びてきて、わたしの眉間をやさしくなでた。
どうやら皺が寄っていたらしい、触れられて初めて気づいたような顔をすれば困ったような顔をして、そこから指が離れていく。



「こわい顔、してたよ」

「ごめんなさい、」

「…彼氏、でしょ」



先輩は滅多にシキの話をしない。
久しぶりに出てきたその言葉に、わたしは首を横に振る。


「…別に、いいんです、もう」

「全然いいって顔してないのに?」

「……、」


先輩はそれ以上何も聞いてこない。
けれど、わたしの恋心はシキに向いていることを、たぶん最初からわかりきっている。



「蜂屋と、別れる気はない?」

「──ないです、」

「そっか、」