「さてユウマ君、綾野君。今回も“暇つぶし”の捜査を請け負ってくれますか?」
汗を落とした後、
二人並んで椿刑事部長の前に立つ。
BMUの一員となってからしばらく・・まだ・・俺達の本来の公務は発生していない。
怪人という存在はこの目で見て、
実際に戦ったから疑う余地もないけど、
“まだ他にも居るのか?”
という問いの答えは出ていない。
それと同様に猟奇殺人もそうそう起きる犯罪ではないから、
今現在のBMUは実質、
他の課の応援に回っている格好だった。
「今度はどこの応援でしょうか?」
「お喜びください。
ユウマ君の古巣の1課です。」
「・・・殺人ですか?」
「期待させてすみませんが、
“事件の捜査”というより、
“遺族のケア”をお願いしたい話です。」
「・・・・・?」
「詳細は1課の松本君に確認お願いします。
但し、決して深入りしないように。」
「・・・・・・。」
「君たちの本懐は怪人討伐です。
気を張る鍛錬ばかりだと疲れてしまうから用意している“息抜き”です。
ほどほどにお願いしますよユウマ君。」
「・・・一応“はい”と返事しておきます。」
「綾野君。ユウマ君がいつものように刑事魂を燃やしそうだったら、
殴ってでも連れ帰って鍛錬に励んでください。」
「・・。」
椿 刑事部長が部屋を出ていくと、
早速スーツに着替え始める。
右腰には拳銃のホルスター・・
そして左腰には“刀”を差す。
「傍から見て携帯してるのがバレないようにな。」
「・・。」
鏡で確認した後、ダメ押しでお互いの姿も確認して、
小刀サイズの鞘が見た目で分からない事を確認すると部屋を出る。
椿刑事部長が新たに組織したBMU。
今ここで・・俺と共に怪人討伐の任を請け負う新たな相棒・・【綾野ジュン】と共に。



