第3話




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連絡を取って指定された待ち合わせの喫茶店。


「ご注文お決まりでしょうか~?」


「いえ、お水だけで大丈夫です。」


コーヒーの1つでも頼めば良かったけど、

綾野もメニュー表に目もくれなかったので店員のお姉さんに謝ってしばらく・・


「県警の玉置です。こちらは綾野君。

お電話で話したとおり、捜査1課の松本さんに代わりまして本日はお伺いしました。」


スーツを着た青年・・今回自殺で亡くなった笹野ミレイさんの婚約者君が俺達の対面に座った。


「お願いします・・!!
これを見てください・・!」


向こうからの自己紹介も早速に終わって、鞄から取りだした何かを俺達に突きつける。


その表情は“哀しい”というより、
“現実逃避”をしている虚ろな目。


松本さんから聞いていた通り、

きっと彼はまだミレイさんの死を受け入れられていないらしい・・。