「キョウスケから“人捜し”の話を聞いたそうですね。」
「人捜し・・?あ、はいはい。
下の駄菓子屋さんの前でバッタリ会った時に聞きました・・!!」
「その依頼人は私です。」
「え・・!!?」
「キョウスケには私の2番目の兄を探してもらっていました。
私の代の椿家で言うところの【次男】です。」
「え・・お兄さんと連絡つかないんですか・・?」
「はい。数年前から消息が分からなくなりました。」
「何か事件に巻き込まれたとか・・?」
「いえ、むしろ事件を起こして消息を絶ちました。」
「・・・・・?」
「私とキョウスケは籍を入れてないので、総本家から度々お叱りを受けていますが、
兄達はちゃんとキョウスケの妹達と結婚しました。」
「・・・・・・・。」
「過ぎた後だから何とでも言えますが、
すんなりと籍を入れた事に、
私は“嫌な予感”をしてました。
2番目の兄は昔から・・【危険思想】を持っているように感じましたから。」
「危険思想って・・?」
「私達兄妹とキョウスケ兄妹の間に“そんなもの”は全くありませんでしたが、
代々藪家と椿家にはイトコ関係と言えども、明確な【上下関係】がありました。」
「・・・・・・・。」



