「・・・・・・・・・・・・。」
「・・。」
階段を昇りきって扉を開ける。
拓けた屋上にも勿論、
彼女以外誰も居ない。
その縁へとゆっくりと歩いて行く。
縁に立ってしばらく・・・・・
・・・・・・・・・・・・。
「決定的瞬間の映像ですね・・。」
「もしこの映像を100人が見たら、
100人とも“自殺”って答えるだろ?」
「はい。」
「でも・・“自殺じゃない”って言い張る人間が1人だけ居る。」
「・・・・・遺族ですか?」
「正確には被害者の婚約者。“ミレイは自殺なんて絶対にしない”って泣き喚いて、
毎日のように最寄りの所轄にやって来るんだよ~。」
「彼女をよく知る人間からすれば【自殺する理由が無い】って事ですか・・。」
「精神疾患は無く、
過去に自殺を図った経験も無い。
むしろ順風満帆の人生を送って、
大学も就職先も全て第一志望。
優しそうなイケメン彼氏と、
3年の愛を育んでめでたく婚約。」
「松本さん、めちゃくちゃ調べてくれたんですね。」
「昨日まで婚約者君の相手させられてたのは俺だったんだよ~。
だから散々聞かされた。そのうち被害者の親御さんまで一緒に泣きついてきて、
“娘は絶対に自殺なんかしません”って。」
「・・・・・・・・・・・。」



