穂先輩の第一印象はクールな人…だなんて思っていたけど。
いや、さっきの店員さんへの対応とか、普段の学校での周りの人たちへの振る舞いは冷静でクールそのものだと思うんだけれど。
私の前ではクールな印象より、なんというか甘やかしてくる印象の方が強い。
今も、慈しむような目で頬杖をつきながらどこか満足げに私を見つめる穂先輩に、ドキドキとさせられる。
私はそんな穂先輩をついに直視できなくなって、目線を下に下げてコーヒーカップに残ったコーヒーを啜った。
すると穂先輩が、身につけている腕時計に視線を落とし顔を顰めた。
「あー、そろそろバイトの用意しなきゃだ。」
店内の壁掛け時計に視線を移すと、時刻は17時40分だ。
わっ、もうそんな時間なんだ…!
あっという間…だったなぁ。
「あ…本当ですね…穂先輩、バイト頑張ってください。」


