お冷を両手でぎゅっと持ちながら、目の前の穂先輩を見上げた。
穂先輩は頬杖をついて、優しい目で私を見つめている。
うう…その目には弱いよ、私。
なんでかは…わからないけど、ドキドキしちゃうんだ。
「…あの、先輩。バイト前…なんですよね?」
どうしても感じてしまうドキドキを誤魔化すように、穂先輩に話題を振った。
「うん。でも今、まだ16時半だし。バイト18時からだから全然時間ある。」
「そうなんですか…?」
…バイト前なのに、私をここまで連れてきてくれたのは。
私のために…ってことだよね。
それは…自惚れかな。
程なくして、さっきの店員さんがコーヒーとケーキを私たちの元へ運んできてくれた。
コーヒー、すごくいい香り…!
それにこのショートケーキに乗っているいちご、真っ赤で大きくてすごく甘そう…!
目の前に差し出された大好きなものに、私は目を輝かせて顔の前で両手を合わせた。


