「せ、先輩…。」



穂先輩は、驚いた表情のまま今にも口を開きそうだったけど。



「わーっ、霜月先輩きたぁ!」



円華ちゃんの声に遮られたみたいで、私たちを見て立ち尽くしていた。


私ははしゃぐ円華ちゃんに、うんうんと頷いた。



「ほたる、頑張ってね。」



隣の小夏ちゃんが、小声でかわいらしいウインクを私に向けた。


円華ちゃんも小夏ちゃんに続いて、頑張れ!と両手に拳を作ってジェスチャーしてくれた。



「あ、ありがとう…!ふたりとも、部活頑張ってね!じゃあまた…!」


「「またねーっ!」」



ふたりに手を振りながらスクバを肩にかけ、穂先輩のもとへ向かう。



「あの、お待たせしました…!」


「おう。…ほたる、まさか。」



私はスクバの持ち手を握りながら、どこかそわそわした様子の穂先輩を見上げて口を開いた。