「へへ、突然ごめんね。昨日うちら、放課後の天沢さんと霜月先輩のやりとり見ててさ。ふふふっ」


「え…っ?!」



なぜか興奮気味の海瀬さんの言葉にドキッとしたけど、私たちふたりは比較的目立つ廊下にいたしわりと人が残っていたのもわかっていたし…見られていても仕方ないよね。


すると、花宮さんが笑顔は崩さずちょこっと眉を下げて口を開いた。



「ごめんね。霜月先輩って有名人じゃない?円華、ミーハーだから。」


「う、うん…?」


「ねえ天沢さん、霜月先輩にめっちゃ気に入られてるじゃんっ!もしかして付き合ってるの?!」



申し訳なさそうな表情をする花宮さんの前にずいっと乗り出した海瀬さんに食い気味に質問をされた。


つ、付き…?!



「ええっ!?ううん、違うよ…!昨日、知り合ったばかりで。先輩が有名な人っていうのも、私知らなくて。」



まさかの質問に、私は大慌てで首も手も横にぶんぶんと振って否定をした。