悲しかったから。
寂しかったから。
今の自分のままじゃ嫌だったから。
少しずつでも不器用でも、私…変わりたい。
私は両手で作った拳を胸の前で掲げて、穂先輩を見上げた。
「頑張ります…!」
「うん。いい子。なんかあったらいつでも連絡してくれていいから。」
穂先輩は、ひらひらと胸元でスマホを振ってから。
「じゃあ、また放課後な。」
「…っは、はい…!」
また私の頭をひと撫でして、2年生の校舎へと歩いていった。
ちょこっと穂先輩の背中を見つめてたけど…ここにいると視線を感じる。
私も、早く教室へ行こう。
胸に手を当て深呼吸をしながら、私も自分の教室へと向かう。
心臓がバクバクとうるさい。
先輩にあんなに応援してもらったんだ、背中を押してもらったんだ。
頑張れ私。
教室の扉の取っ手にグッと力を込めて、ガラガラと引いた。


