巡り行く季節の中心から【連載中】

「メガネは早いとこ消えろよ」
「言われなくても」


厄介なことになる前に引き下がった方が身のためでしょう。


「では僕は失礼しますね」


軽く一礼してから涼人の横を通り過ぎ、思い扉のノブへ手を掛けたまさにその時、


「オイ」
「はい?」
「…………」


涼人は意味深な沈黙を置いて、


「俺はテメェを許さねェからな」


短く言い捨ててから僕に背中を向けた。


「……そうでしょうね」


言われなくても、許してほしいだなんて思っていませんから。