巡り行く季節の中心から【連載中】

それにしても、さすがにビックリしましたね。先程の米澤さんには参りました。
幻でも見ているんじゃないかと自らの視力を疑いましたよ。
ドッペルゲンガーの存在を認めてしまいたくなりましたし。


「……ほなみ、君に似ている女の子が現れたんです」


青と白で構成された空を見上げて問い掛ける。


「これは君が僕に与えた試練なのですか?」


だとしたら、僕は――……。


「マジだりぃわ」


ガチャンと扉が開く金属音と共に、話し声が聞こえてきた。
僕はすぐさまドアの方に視線を移す。


「パン食いてぇな。誰かコンビニ行ってきてくんね?」
「つかそのまま帰りてーし」
「けど六時間目体育だもんな~。オレ体育はマジ出たいし」
「わかるー。あの熱血の授業だけは楽しいよな」


この声は学年でも有名な例の不良組ですね。
また性懲りもなく悪事を働こうとしているようですが。