義理のお兄ちゃんの学園プリンスに愛されちゃってます~たくさんの好きをあなたに~

 そしてそれからは明るい食事の場になった。交代でお肉や野菜を焼いて、それぞれ取って食べる。
 その間、渉は意識して、だろう。一人の子に集中することなく、あの子に、今度はこの子に、と話しかけてくれた。
 そんなことをして、渉に特にメリットなどないだろうに。むしろ気を使って大変だろうに。
 梓はお皿に入れた野菜を頬張りながらその様子を見た。
 でも渉は、自分に向けられる好意をむげにしないのだ。むしろ、特に恋をしている相手などではなくても、分けへだてなく、優しくしてくれる。
 そういうところも好きだなぁ、と感じてしまって、胸の奥がくすぐったくなった。
 家の中で、梓にご飯なんかを作ってくれるところも好きだと思う。
 でも、こういう場所でみんなに囲まれてお肉を焼いたり、あるいは逆に焼いてもらったり。
 ひとと交流しながら楽しそうに食事をしているところを見ているのだっていい、と思う。
 また違う一面が見られるから。渉のいろんな面。
 全部知りたいなぁ、なんて思ってしまって、恥ずかしくなった。嫌な気持ちではなかったけれど。
「梓もちゃんと食ってるか?」
 そして梓のところへも改めてやってきてくれた。自分のことも相手をしてくれるだろう、と思っていたもののやはりそわそわしていたので、梓の心はぱぁっと明るくなってしまう。
「うん! すごくおいしいよ」
「そうだよな。友達と一緒だしな。えーと……楓ちゃんとつぐみちゃん……それに雲雀ちゃんだよな」
 渉は次々に梓の友達の名前を呼んでいった。会って話すことなんて数回しかなかっただろうに、全員的確だった。
 梓がよく家で話をしているからだろうが、それだって記憶力がすごい。梓は感嘆した。
 そしてもちろん、名前を覚えてもらっていたことを感激したのは梓以上に本人たちだろう。
 雲雀などは顔を真っ赤にしていた。こくこくと頷く。
「いつも梓が世話になってます」
 にこっと笑って言われて、みんな「いえ!」「私たちこそ」と返事をする。
 ちょっと緊張しつつも、楽しい時間。