「うるさい。おぬしのようなケダモノと一緒にするな!」

「ですが、アリギュラ様ですよ? 眼差しだけで男を虜にし、腰砕けにするとまで言わしめた我が君ですよ? いくらなんでも、我ら四天王も知らない火遊びのひとつやふたつ……」

「じゃかあしいわ! 無いものは無いんだから、仕方がなかろう!?!?」

 プライドもずたずたに、アリギュラは怒って枕を投げつける。それを無駄に整った顔面で受け止めつつ、メリフェトスは「おうふ……」と絶句した。ほかの四天王と共に散々ネタにしてきたくせに、どこかで「さすがに一度くらいは経験あるだろ」と高を括っていたらしい。

(こいつ……! 子々孫々まで呪ってやる!)

 怒りと羞恥にぷるぷる震え、アリギュラはメリフェトスを睨む。そんな主に、メリフェトスは眉間を押さえて嘆息した。