にっこり微笑み、メリフェトスが恭しく剣を差し出す。それは、アリギュラが海に投げ捨てたはずの聖女の聖剣『光の剣』であった。

 眉根を寄せて、アリギュラは首を傾げた。

「なんでそんなもの拾ってきた。よわっちいぞ、その剣」

「役に立つからにございます、我が君」

 エルノア王国の希望と夢が詰まった聖剣を、あんまりな言葉で一刀両断するアリギュラ。けれどもメリフェトスは、妙に自信満々に大きく頷く。

「こちらの剣は、女神が用意した対魔王用のアイテム。その性格上、光属性の魔法に特化した剣にございます」

「ほぉ……」

 恭しく差し出されたそれを、アリギュラは仕方なく受け取る。たしかにそういった特性を持った剣であれば、これまで闇属性の魔法ばかりを使ってきたアリギュラであっても、なんなく光属性の魔法を使えるのかもしれない。