「メリフェトスを迎えに行く。時間を置く理由もないからな」

「は!?」

なんてこともなく返事をしたアリギュラに、攻略対象者たちは一様に息を呑む。信じられないといった表情で、ルリアンが勢いよく首を振った。

「無茶だよ! 君が強いのは知っているけど、相手は魔王だよ」

「おチビちゃんの言う通りだ。奴は聖女である君を始末するつもりだ。座標に向かうにしても、一度城に戻って作戦を練ってからじゃないと」

「必要ない」

 アランを遮り、アリギュラは目を細めた。

「策を練ろうが練らまいが、最後に物を言うのは純粋な強さだ。だったら、正面きって殴り込みをしたほうが話が早いわ」

「だ、だけど。もしかしたら、彼はもう……」

 反論しかけたクリスだが、なぜか途中で言いよどむ。何やら言いづらそうに口を開けたり閉じたりする魔術師に、ルーカスが嘆息をひとつ。それから、敢えてずばりと切り込んだ。