「やばいやばいやばい…」



…何がやばいって?


新 学 期 初 日 に 遅 刻 は や ば い


チラッと腕時計を見るとHR(ホームルーム)開始まであと……3分。



全速力で下り坂を走る。
この坂を下ればもうすぐに学校に着く。



「間に合えぇぇぇぇ!!!!!!」



無我夢中で走ってると、下り坂でスピードがつきすぎたようだ。



「え”っっっっ」



全身の血の気がサーッと引く。

スピードをつけすぎた足がもつれ、私は坂の下までパンツ丸出しで一気に転がって行った。



「し、死ぬかと思ったぁぁぁ……」



仰向けのまま、息を整えてると



「大丈夫?君」


「ん?」



黒髪くせっ毛、黒縁メガネを掛けた男の子が心配そうに私を覗き込んだ。



「だっ、大丈夫です!!!!あは、あはは」



ガバッと上体を起こし、引きつった笑みを向ける。

いや!!恥ずかしすぎるでしょ!!!!
絶対転がり落ちたとこ見てたよこの人!!!


穴があったら入りたい……。


すると、キーンコーンカーンコーン…とHR開始のチャイムが学校から聞こえた。



「やばっ!!あ、あの、遅刻しちゃうんで!それじゃ!!!!」



私は立ち上がって、風の如くこの場を後にした。




「あっ、待っ、…行っちゃった………」